第14話
古い洋館風の「居間」とか「応接室」の風格はそのままに、ダークブラウンと白で統一されたインテリアと液晶テレビやらオーディオ機器やらが調和したモダンなリビング。
リビングと二間続きになっているダイニングにはシンプルなテーブルセットとファクシミリの乗った棚が1つあるだけ。
奥にキッチンへと続く出入り口があるだけで、生活感が無いというか所帯じみた感じが全く無い。
「……独身なのに……怖いぐらい片付いてるな……」
特にすることもなく、かといって勝手にテレビをつけてくつろぐというのもどうかと思って、私は白いソファの隅に座り、改めてこの家について考えてみる事にした。
独身の男が一人きりで生活するのであれば、バスとトイレとキッチンと寝室の行き来だけで充分用が足りそうなもの。
家に対する思いいれもあるのだろうけれど、1人でこの家を管理するより、都市部にマンションでも買った方がよほど生活しやすいだろうに……。
この家は大きいし外観も素敵だけど、駅からはかなり離れているし……もしもおじさんが結婚したら、お嫁さんになる人は大変だろう。
あの麗しい見た目のおじさんが独身でいる理由は、もしかしたらソコにあるのかも……?
そういう現実を踏まえると、どんなにイケてる男の人でも、結婚から縁遠くなってしまうのだろうか……。
いや、でも、あんな素敵な人と結婚できるなら、家事が大変でもヘッチャラよ、っていう女の人は沢山いると思うんだよな~。
……たまたま今は結婚に至っていないだけで、彼女ぐらいは普通にいるだろう。
そう………彼女ぐらい……。
「……っていうか……いなきゃヘンだよ。見た目がアレだもん……」
この家の整然とした様子……もしかしなくても、おじさんには定期的に通って来て家事をこなしてくれる彼女Aがいるのかもしれない。
でもって、その彼女Aってのは、美人で頭がよくて気立てもよくて、親戚の小娘が居候しているぐらいの事で目くじら立てて怒ったりしなくて。
経済的に自立した大人同士だから、どこへだってデートに行けるだろうし……わざわざこの家でイチャつかなくてもいいわけで……。
こうしている今も、実は、おじさんは彼女Aと会っていたりして……。
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