第16話

「あはっ、いきなり何を言い出すんですか……もうっ、真面目に話してたのに~っ。私なんて、ただの従姉の娘ですよ?」






「違うよ。ただの、じゃなくて……愛しい従姉の娘」






すぐさま、念を押すように訂正されて、鼓動が跳ねる。





その、【愛しい】が……【身内愛】としてなのか【恋情】としてなのか……。





私には量れない。





こんな風に堂々と言われると、【秘めた愛】じゃないような気がするけれど……。






でも、微笑んでいる彼の眼差しが……どこか遠く感じられて……。









「そうだなぁ~、でも……莉奈がお嫁さんになってくれる、って言うなら、独身主義を考え直してもいいかも~」






ぐるぐる巡る自問自答と妄想に頬を火照らせるばかりの私に、茶化すような声でそう言うけれど。





それはもう、ただの冗談にしか聞こえないし……。






彼自身、自嘲しているようにすら感じられる。






「……あからさまに冗談めいて聞こえますが……」





笑顔を引き攣らせて応える私に、俊彦おじさんは楽しそうに首を傾げて見せた。





「そう?……でも、莉奈がどこにもお嫁に行かず、ず~っとこの家で暮らしてくれるといいな、って……そう思っているのは確かだよ」





「娘を嫁に出したくないお父さんみたいな発言ですねぇ……うちのお父さんも過保護なほうですけど、そんな事は言いませんよ~?」





ため息混じりに笑って返せば、きっと彼も笑って、いつものようにその場を和ませてくれる、と。





そう、予想していたけれど。





意外にも俊彦おじさんは、その微笑みをわずかに曇らせて、





「言わないんじゃなくて、言えないんだ……」





そう、小さく呟いた。





「え……」





思わず聞き返してしまったけれど。






「いや、なんでもない。気にしないで」





俊彦おじさんは、その呟きを無かった事にしてしまって……。





そうされてしまうと、もう、それ以上、食い下がる事はできなくなってしまった。

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