第137話

……凄く似ている。






背格好も、顔も、声も……。






穏やかな微笑みも……。






まるで……ケイそのもの……。





「すみません、退院されたばかりなのに走らせてしまって……」




「いえいえ。本当にもう何ともないんです。むしろ、少し運動しないと……」





微笑ましいやり取りをしている2人を余所に、私は顔を強張らせてその男の人に見入っていた。





そんな馬鹿な……。





でも……。






あり得ない……。






だけど……。







否定と、それを更に否定する思念とがせめぎ合う。





不毛な自問自答を繰り返しているうちに、私の両目からは涙があふれ、頬をつたってボロボロとこぼれ落ちていた。

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