第120話

私の過去に彼が存在していた可能性は、限りなく低くて……正直、途方に暮れていた。




たとえ、たどり着いたその人物が既にこの世に生きていなくても……と……。




そこまで覚悟を決めていたのに……。





なんの手がかりもつかめなかった。





努力の殆どが無駄になると、承知の上ではあったけれど。





やっぱり、現実は甘くない。





不可解なまま終わってしまう事なんて、この世の中にはきっといくらでもあって。





頑張っても、どうにもならない事の方が多くて。





単に、運が良いか悪いかで……。





つまり、私は後者だったというだけの事で……。





でも……。





本当に……?





そういう次元で物事を考えるなら、ケイに出会えた事こそが、まるで奇跡で……。





それを思うなら、私は、間違いなく前者だった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る