第109話

『傍に在る今でさえ……身体を張って護ってやることも………触れることも……髪を撫でることもできない……』





独り言のような彼のその言葉に、私は頑なに首を振る。




「私は、それでもいい。護って貰わなくても平気っ」




即座に返していたけれど。




本当は、胸が疼いていた。




もしも、ケイが私の髪を撫でてくれたら……。




衝動的に望んでいた。





でも、それは………ケイがそうしてくれることを望んだのであって……。





彼以外の誰かに対する欲望じゃない。





「………ケイがいてくれるだけでいいよ」





『……俺は、それじゃイヤだ……』





すぐさま、そう返され、胸の奥が音をたてて軋んだ。

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