第68話

彼女は、何事もソツがなくて……合理的で、器用。





それに比べて私は、不器用で、変なところで馬鹿正直で……結果、他人の気持ちを惑わせて……自爆して。





彼氏がいるようなそぶりをするなんて、見栄っ張りみたいだし、恥ずかしいって思っていたけれど……。





周囲に変な気を遣わせたり誤解をさせるぐらいなら、嘘をついてでも体裁良く振る舞う方が周囲に対して誠実だという事もある。





今更だけど……私も……。





便宜上『彼氏持ち』で……やっていく方が無難なのだろうか……。





「安原さんがその気なら、私、噂を流しておきますよ?安原さんには彼氏がいます、って」




思案顔で黙り込んでしまった私の顔をのぞき込み、矢野ちゃんは可愛らしい両目を瞬かせた。

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