第61話

「だから、きっと、電気ストーブの精なんだってば」





咄嗟に私は、傍らの彼の横顔を振り仰ぎ、口調を強めて主張していた。




『えぇ?』




困惑したように苦笑する彼は、じっとストーブを見つめている。




その横顔は、馬鹿馬鹿しい、と、鼻で笑っている様でありながら、どこか不安げで……。




そんな彼を見ていると、私まで不安になってしまうから……。




「次に出てくる時は、お呼びでしょうかご主人様、って言ってね」




敢えて、ふざけた口調で威張ってみる。




すると彼は、呆れたようにため息をついて、




『………勘弁して』




そう、力無く呟いた。

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