第21話
「メイサさん、どうぞ」
週末、リンに呼び出された私は本を渡された。キレイに装丁された小さめの文庫本。ページ数がまだ足りないからか、厚さはないが、それでも初めて形になった物語。
パラとページをめくる。見慣れた文字列も紙に印刷されているだけで、どうしてこんなに愛おしいんだろう。
「本の完成、おめでとうございますメイサさん!」
「まだ試作品だけどね」
「それでも大きな第一歩ですよ」
そう、少しずつではあるが、確かに完成に近づいているのだ。
「これなら先行展示でもいい評価になるのではないでしょうか!」
「……そうだといいけど」
まだ不安は拭えない。他の参加者の力量も見えない今は、ただ暗闇の中をもがいているようなものだから。先行展示が終わったって本番がある。ぐるぐると回る思考がだんだん苦しくなってくる。
俯いていた私の手を取って、目を合わせたリンがふわりと笑う。
「リンはメイサさんが努力しているお姿で強く確信を持ちました。きっと大丈夫ですよ」
そんな言葉に励まされてしまうほど、私は浮かれている。
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