第8話

「なんで起こしてくれなかったんですか!?」

「言うと思ったわ……」



 帰宅後、思った通りのことを叫ぶビー玉に思わずため息を漏らす。帰っているうちにボロボロになったクラスメイトからもらったクッキーを食べて一息つくと、ビー玉はそれすら羨ましそうに花瓶の中からジトッと目を向けた。



「だから、俺は起こしたっつってんだろ」

「私は起きられてないじゃないですか」

「ンなもん知るかっての……」



 少女と話していると、コンコンと部屋の扉がノックされて廊下から声がかけられる。うげ、面倒なことになった。



「さっきから何ぶつぶつ言ってんの。長電話になるならうるさいから外で頼むわよ」

「……ハーイ」

「じゃあ、散歩しましょう!ずっと部屋じゃ飽きちゃうので外に出たいです」

「この独り言を外でしろっていうのか……?」

「諦めてください」



 昨日の時点で知り合いに見られていないかとヒヤヒヤしていたというのに、これ以上おかしい奴のレッテルがつけられる可能性を甘んじて受け入れろというのかコイツは。



「早く行きましょう!」



 どこから取り出したのか麦わら帽子を被った少女はクルリとワンピースを翻して笑った。

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