君への想い
一夜零編 本編 最終章 epilogue エピローグ
「あいつも死ぬ間際は、こんな気持ちだったのかな?」
小学生の頃、俺は、いじめられっ子で、自分のことをいじめたクラスメートをいまは廃校になっている小学校の近くにあった近所の古井戸に、そのクラスメートを突き落とし殺害した。
XXXXの自身の転落事故に見せかけて(遺体は未だに、まだ発見されていない)
「XXXX。今なら、お前の気持ちが少しだけ解るよ? なんで、お前があんなにも俺のことを虐めたのか? 今、はっきりわかったよ?」
嗣哉? 俺が憎かったんだろう?
けどなぁ、俺は、それ以上に、嗣哉? お前のことが憎くて堪らなかったよ?
そう、殺してやりたいほどに。
けど、いまは……
「純也。お前に言わなちゃいけないことがある」
★
「恭輔!」
自分の前に現れたのは、やっぱり城谷純也だった。
黒鳥は、自分の目の前に現れたかっての親友兼相棒に向かって、最後の力を振り絞り、ゆっくりと立ち上がる。
そして、血が流れ出るお腹を押さえながら、ゆっくりと純也の方に……
「おっと」
「恭輔!」
足がもつれて、前に倒れそうになった恭輔を純也が慌てて支える。
「ありがとう」
「そんな状態で無理するな! すぐに、救急車呼ぶから」
純也は、携帯を呼び出し、救急車を呼ぶために「119番」に電話を掛けようとした。
けど、それを恭輔が制止した。
「恭輔?」
「純也? 俺は……ゴホゴホ!」
突然の吐血。
「恭輔!」
「大丈夫! それより、お前にどうしても聞いて欲しい話があるんだ」
「なに?」
純也は、恭輔のことを支えながら、彼の話しに耳を傾ける。
「俺さぁ? お前と出会って、お前と一緒に探偵の仕事できてよかった。まぁ? 最後は、喧嘩別れみたいになっちゃったけど」
純也とたった二人で始めた小さな探偵事務所。
思えばあの頃が一番楽しかった。
もし、戻れるならあの頃に戻りたい。無理だけど。、
「それはお前のせいだろう? お前は、10年前、幼馴染に無理やり頼まれたんだろう?」
「違うんだ。10年前、俺が、遥の会社の継いだのは、俺の秘密を鴇矢禅に知られたからなんだ?」
「恭輔の秘密? なんだよ? 秘密って?」
「俺は……人殺しなんだ。俺は、小学生の頃、同級生を自殺に見せかけて、井戸から突き落とした。そして、その遺体は、未だに発見発見されていない。純也? 俺は……生きてちゃいけない人間なんだ」
「……」
恭輔から訊かせれた衝撃過ぎる秘密に、純也は、言葉を失う。
そして、同時に支えていた手を一瞬離してしまう。
「!」
その瞬間、恭輔の身体がゆっくりと前に倒れ始める。
「恭輔!」
純也の声が雨にかき消され、そのまま恭輔の身体が地面に。
そのまま、恭輔は二度と起き上がることはなかった。
☆
零。
お前、今どこにいるんだよ!
今日は、お前の二十歳誕生日だろう?
誕生日プレゼント渡せないだろ?
それに2年前、俺にお前こう言ったよな?
{俺、犯罪者だから。犯罪者が学校に通ったらヤバいだろう?}
俺は、まさかこれが、お前との最後の言葉になるとは思わなかった。
零、俺は、今でもお前のことを犯罪者だとは思ってない。
俺たちと同じ……いやぁ?
もしかしたら俺たち以上に寂しがり屋で、常に自分の居場所を求めつづけていた寂しい男。
「だから、もし、世界中が、お前の事を犯罪者呼ばわりしても、俺だけは……」
幸也は言葉を、切り上げるとポケットから。
「……お前がいなくちゃこんな……」
幸也の足下に写真が落ちる。
「……バカヤロウ。もう怒ってないから早く戻ってこい!」
自分と肩を組み笑顔で写る一夜零の写真に涙が落ちる。
※幸也は、知らない2年前に、もう零が亡くなっていることを。
★
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます