第158話

 ねぇ、エスポール、あなたは信じられますか。




 その棚の奥を見た時、大声でわめきたいような、頭をその戸に打ち付けたいような。

 嵐のような感情が沸き起こりました。

 じっさい、その間自分が部屋のどこをどう動いたのかまるで記憶にありません。

 ただ、一生で随一と言っていいほど、痛くて、苦しくて、狂ってしまいそうだった。


 夫に何度も殴られたときより。

 家族に見捨てたよきよりもずっとずっと。


 千の剣で串刺しにされたような慟獄はところが、わたしの中に芽生え育っていた、かけがえのないある事実を教えてくれたのでした。


 どうしたらいいの、エスポール。

 わたし、ロジェのことが――。

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