第6話

 悲鳴を上げる間もなかった。

 視界に真っ青な空と街路樹が入って来たと思ったら、もふんと身体が弾む。

 目の前には四角い木でできたスペース。奥には運転席がついている。

 トラックの荷台に落ちたみたいだった。

 干し草をいっぱい摘んでいて、いい匂いがする。

 まずい。早く戻らなきゃ。

 ちまちまと白い足で駆け出すより、エンジンをかけたトラックが走り出すほうが早かった。

 ひゃぁぁっ。

 どうしよう。

 ちらと下をのぞき込むと、道路の白線や標識が目にも止まらぬ速さで駆け抜けていく。

 こんなところを飛び降りる勇気なんてないよ~。

 とほほとわたしは干し草の中に身を沈めた。

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