第66話

「目悪くなるよ」


「ま、ただでさえ目悪いけどな」


「あそ」



環は耳に触れる髪を掛け直して、そのままの動作で。


「ルーのアレ、美容師じゃなかったっけ?」



呟く。




ルイは一度動きを止めて、顔を上げて環を見上げる。



「アレって?」


「彼女みたいな…だったっけ」



「神崎レミ?」




フルネームで名前を口にしたルイは妖艶に口元を緩めて。



「確かに関係はもってるけど」




そう、さらりと口にした。


ルイは、気にしないことが多いと思う。

それから、ある意味一番『経過』を重要視しない方の人間だと。感じるときがある。

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