第55話

六枚目。


それを目にしたとき、樫月さんは面白そうに目を細めて言った。



「それは、うちに入浸りのコのだね」






『彼は、誰よりも彼女を想っているかもしれないし、そうでないかもしれない。彼が一人の人間を公に愛することのできない立場の上で、それは、成り立っている。』

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