第47話

その背中を追うように視線を向けて指先をそっと伸ばせば彼女は振り返り、目を細める。



「やっぱり怖い夢だったんじゃない?」


囁くように口にして、「この髪は、ルイみたい。暗闇の中では、違う色を隠して」と言った。



「何?」


「ううん。ルイ、笑って」



「?」




訳の判らないまま小さく笑みを浮かべる。





すると彼女は一言、



「綺麗」



そう口にして、前髪が払われた額にキスをした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る