第46話
まるで水の中に身体を沈めているような、淡い夢の中で、いつか行ったフランスの葡萄畑に囲まれて。
隣で寝息を立てる女の子を見つめていた。
・・・
「…ルイ?泣いてるの?」
ふと瞼を開くと、どこかの家の天井が見えた。
耳の外で聞こえる声に注意を向ける前に、自分で涙に気付いて、深く息をする。
それを何度か繰り返したとき、寄り添って眠っていた女が勝手に涙を拭った。何か言っているけれど、何も聞こえない。
聞こえて来ない。
まだ、夢の中にいるみたいだった。
「怖い夢でも見たの?」
その問いに、静かに首を横に振る。
「夢っていうか…記憶かな」
ふうん、と返事をする女は、まあ、と付け加えて起き上がり、背中を向ける。
「また一人で寝れなくなったら言ってね」
そう言って、優しく微笑んだ。
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