第42話
「へ」
予想外の反応に恥ずかしくなってしまったのは私の方で、咄嗟にううん、と首を横に振った。
そういうわけじゃ、なかった。
「あれ、テレビの人じゃないの?」
一応それにも、首を横に振る。
すると彼は混乱したように首を傾げ、「じゃあ、あまり聞かない方が良かった?」と問うた。
「あ、」
ややこしくしてしまって申し訳ないような気分になって、どう説明しようかと下を向くと、頭上からは「やっぱり女優さんだよね」と優しい声がした。
顔を上げると、猫舌さんはエプロンの端に付けていたピンを指先で掬って、下げていた前髪を上げた。
「ん?」
くる、と僅かに幼い印象のポンパドールの下で、花が咲いたように笑顔を魅せる。
何かを口にしようとしたとき、猫舌さんはそっと「あ、晴れてきた」と日の光を目に細めた。
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