第29話
イマイチは、俺やルー、それからトイレに比べるとすぐ声に出るからからかい甲斐がある。
まあそれも、気遣ってるだけだったかもしれないけど。
波音に至ってもそうだ。
『っつうかさ。環くん仕事掛け持ちしすぎで断るしかないならそう言った方がいいんじゃね?』
「なんのこと?」
とっくに信号はアオへと色を変え、進まなければならなくなっていた。
けれど広い通りの信号で歩みを止めながら、行き交う人を見るだけで。
仕事への依存が、何か他のものへと姿を代える瞬間を目にしようとしている。
『まー、余計なこと言うつもりはないけど』
「うん、そうして?」
結局はそれを伝えようとしていたイマイチはとことん残念だなと思いながら、俺は再び赤に染まる信号を、見つめていた――――。
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