第15話

部屋からひょこ、と覗かせられた割と幼い顔が、途端にきらきらと輝き出す。




「ひょおおえあああ…!!」




「兎丸」



名を呼ぶ龍がおいでと言うと、本当に兎のように龍の隣に走ってくる。




「う、うーくん…!」



「何うさぎまる」



「とまるです!」


童顔の十八歳はキリ、とそう言ったあと、むふふと口元を緩ませた。



「うーくん、相変わらず綺麗な顔ですね!」




そう叫んだうさぎまるに黙る俺たちの中、龍が入れと唸る。






溜め息をつく龍の隣で、龍ほど背のない俺より小さなうさぎまるは気にせず暑苦しい視線を向けてくる。



「兎丸、お前のその美形好きはどうにかならないの」



兄である龍は言った。俺はじっとうさぎまると視線を合わせたままだ。




「たっちゃんごめん、俺、三度の飯より美人が好きなんだ。男女関係なく」


「うんたっちゃん知ってるけどな?」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る