第12話 依頼者と合意
それから三日後の深夜十一時、指定され場所に麻由美は一人で訪れた。
神宮外苑のいちょう並木通り、その裏は木々が蔽いぎって人目にはつきにくい場所であった。定刻の十一時、麻由美が立っている真上からフワッと音もなく鳥が舞い降りたような気がした。気を取られて、その方向を向くと。
「武器は所持していないと思うが軽く手を上に挙げてくれないかな」
なんと麻由美が向いた逆の方向から声を掛けられた。
「流石ね、もう調べてあると思うけど私は諜報収集を管轄する真田二等陸尉です」
「ああ、まさか政府筋から依頼が来るとは思わなかった」
「私も政府筋の人間、貴方がどういう人間か知ってコンタクトを取らせて貰いました」
「ほう、どんな人間だというのかね」
「ごめんなさい。気を悪くしないでね。貴方の事は一応調べさせて貰いました。それを承知でお願いがあります」
「政府の依頼と言う訳か。まさかこの俺に?」
「ええ、ご存知の通り一歩間違うと日本で内戦になりかねない状況です。本土の自衛隊が北海道の自衛隊と真っ向からミサイルを打ち合う訳にも行きません。万が一長引けばロシアがクーデター側に付いたら日本は真二つに割れ韓国と北朝鮮のようになってしまいます。何が合っても絶対にそれは許されません。そこで少人数を送り込み首謀者数人を暗殺すれば後は烏合の衆、クーデターを阻止出来ると思います」
「俺も日本国民の一人して国を守る義務がある。特に異存はないが、何をしろというのかね」
「私は貴方を信頼出来る人間と思い頼みに来たのです。勿論、政府要人の許可を取ってあります。でも全て私が対応を任されております。決して裏切る事も損させる事もさせません」
「もはや断る事は出来ないようだな。本来俺は一人または部隊を率いて行動するが、これだけの相手となると君達の協力と情報が必要だ」
「それでは作戦人員は何人でも用意しますが」
「そうだな。取り敢えず十人くらい集めてくれ」
「分かりました。では明日にでも指定の場所で作戦幹部数十人と作戦を練りましょう」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます