堕天使に召喚された?それって悪魔召喚じゃね?
ねこ車
第1話
みなさんはなかっただろうか?
学校での【ふわっとしたイジメ】
イジメの定義にもよるが、気づけばいつの間にか始まり、
そして約一週間ほどでターゲットが自分から
別の誰かへと移っていく。
それがクラスの中で順番に回ってくる。
次はあいつか、次は自分か―「私はいつ?」
もしクラスの名簿順ならまだ心の準備ができるかもしれない。
だが、朝学校へ行くと突然、
自分の番になっていることもあるのだ。
しかし、少し我慢すれば酷いイジメにはならない。
暴力を振るわれるわけではないし、
ただなんとなくその間は無視されるだけ・・・我慢すれば。
無視されていると気づいたら、
こちらからも話しかけないようにするのが暗黙の了解。
だからこそ、誰も何もなかったかのように、
何も起こっていないかのように、
作り笑顔を浮かべ仮面をかぶって学校生活を送る。
そう、それはただのフリにすぎない。
たぶん最初はクラスのリーダー的なやつが
始めたことだったのかもしれない。
けれど、
いつの間にかそのリーダー的なやつが対象になっていた。
みんな【あいつが始めたんだから自業自得】と思い、
知らないふりをする。
でも、ふと気づけば
【自分たちだけがイジメをされるのはずるい】となり、
いつの間にかこんな状態ができあがっていた。
本当によくわからない。
けれど、それが中学生が考える"平等"なのかもしれない。
そんなふわっとしたイジメがクラスで行われていた同じ時期、
隣のクラスではもっと酷く陰湿なイジメがあった。
そのせいで学校に来れなくなった生徒がいた。
聞いた話では、
ネットで悪口というよりデマを流されていたらしい。
自分の好きな男子が好きな女の子に対して、
ちょっとした意地悪と嫉妬でやってしまったようだ。
けれど、
その子はいじめによって学校に来れなくなってしまった。
だがそれはそのクラスだけでは終わらず、
学校全体の問題となり、
うちのクラスでもイジメがないかアンケートが行われた。
しかし、イジメがあると告発する生徒はもちろんいない。
自分も含めて・・・
そんなことをして事を大事にしたいと誰も思わないからだ。
誰か一人ぐらい書くかもしれないと、
みんな思っていたのかもしれない。
本当にどうしようもないチキンレースをやっていたのだ。
だが、このまま何もなかったことにして、
受験をして卒業できればそれでいい。
みんな、そう思ってしまった。
面倒なことにかかわりたくないと・・・
中学をそうやって卒業し、高校生活が始まった。
けれど、どうしても他人の目が気になってしまう。
何か目立つようなことをして、
またイジメられるんじゃないかと心配になるからだ。
高校生活の最初のうちは、どこでもそうだろうが、
同じ中学の子で集まるものだと思う。
僕も最初は、中学でイジメがあった隣のクラスの子が
話しかけてくれていた。
だけど、その子に友達ができれば、
自分はいらない存在になる。
もともと中学がたまたま一緒だったというだけの
【知り合い】でしかない。
むしろ、イジメがあった学校の出身だと知られたら、
お互い面倒になるだけだろう。
それでも、急に冷たくなったり無視したりせず、
一応当たり障りのない挨拶をしてくれるだけ
マシなのかもしれない。
いやむしろ、いい子だったのかもしれない。
そんなぼっちな高校生活も、
不思議と慣れてしまえば楽だと思っていた。
特に、友達がいないと困るようなことがないのも
理由かもしれない。
学校側も配慮しているのか、
何か2人一組やグループ分けをするときは、
クラスの名簿順で組まれるのだ。
もちろん、仲良しグループに所属しているような人は
文句を言うこともあるが、
あまり言うと周りの目が【お前いい加減にしろよ】
と無言のプレッシャーをかけてくる。
そこは、仲良しグループに所属しているような人たちなのか、
空気を読めるようですぐにおとなしくする。
そういう意味では、
クラスに面倒なグループみたいなのが
いなくてよかったかもしれない。
僕のような静かに高校生活を送りたい生徒には、
いい学校だろう。
親同士が仲が良かった中学の同級生の高校では、
クラスに問題のある生徒がいるらしく、
【ヒエラルキーが~】とか【カーストが~】
とか言っているらしい。
親からは僕の学校は大丈夫か?と聞かれたが、
大丈夫だよと言ったら、それ以上聞かれることはなかった。
ぼっちなんですけどね~。
高校でのぼっち生活で、唯一少しだけ面倒なのは
昼ごはんの時間かもしれない。
とはいえ、
その時間さえどうにかやり過ごせればいいので、
苦痛というほどではない。
ただ、ほんの少し面倒なだけだ。
クラスの教室で誰かとご飯を食べるのも、
一人で教室で食べるのも、正直どちらも気が進まない。
だから昼休みになると、そっと教室を抜け出して、
一人になれる場所へ移動するのがいつもの流れだ。
人と食べないのは、単にそういう友人がいないから。
教室で一人で食べるのが嫌なのは、
“なんか面倒なやつだな”なんて思われたくないからだ。
できるだけ存在感を薄くして、
誰の記憶にも残らないようにしたい。
教室内で一人でご飯を食べていたら、
それだけで目立ってしまう気がするのだ。
朝、学校へ向かう途中のコンビニで
買った菓子パンを食べるため、
何事もないふりをして教室を出る。
いつもの場所に早く移動しないと、
あっという間に休み時間が終わってしまう。
学校生活を送るうちに、
ひとりで昼ご飯を食べられる場所を、
だいたい三か所ほど確保していた。
まず1か所目は、校舎と校舎のあいだにある、
屋根付きで左右が壁に囲まれた、
通路のようなスペースだ。
普段は人が通るだけの場所で、
壁の向こうに誰かがいてもお
互い気づかないような造りになっている。
しかし、今日はその場所にすでに先客がいた。
「仕方ないか・・・」
思わず声に出してしまい、
誰かに聞かれていないかと
周囲をそっと見回してしまった。
そして2か所目・・・
学校にある2つのグラウンドのうち、
小さい方の脇には腰掛けられるスペースがあり、
そこは意外と人が少ない。
ほとんどの生徒が大きいグラウンドの方で
昼食をとることが多いからだ。
「ここもか・・・」
本当に独り言が増えてきた気がする・・・。
ちょっと気をつけないとな。
そして、確認する最後の場所は、
特別教室などが並ぶ校舎最上階へ続く階段だ。
「まじか・・・今日は厄日かよ・・・」
どうやら僕以外にもぼっちがいるらしい。
階段に座っている女の子と目が合わないように、
そっと横を通り抜け、そのまま最上階へ向かった。
こうなると、残された選択肢はあそこしかない・・・。
仕方なく、
近くの男子トイレで食べようかと考えながら
最上階の廊下を歩いていると、
校舎の最上階、
荷物が雑然と積まれたスペースの奥にある、
屋上へと続く階段。
その先の扉は、
いつもなら施錠されているはずだった。
けれどそのドアノブには、
なぜか鍵が差し込まれたままになっているのに気づいた。
何かの点検作業中かな?
でも、もし誰かが鍵を差しっぱなしで
忘れていったのだとしたら
屋上に入れるかもしれない。
それに、屋上に誰もいないようなら
昼休みの間だけなら、
気づかれずに済むかもしれない。
鍵の差さったままの扉をそっと開けて、
屋上に誰もいないか確かめてみる。
誰もいないよな?
奥のほうにいるとかやめてくれよ?
そっと確認してみたが、
どうやら本当に誰もいない。
ラッキーだ、
今日はここで食べてしまおう、
そう思ったその時、
下の階のあたりから悲鳴のような叫び声が
聞こえたと思ったら、
自分の足元が白く光って、体を包み込んでいく・・・
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます