第4話

「今日も忙しいってのに朝からボケてちゃダメでしょ」



真柴の呆れた表情に面目ないと頭をかいた。



ボケてた理由を言えるわけもなく、ただ誤魔化しの愛想笑いを浮かべる。



砂川 鈴音(さがわ すずね)。



ここ柏田(かしだ)外科病院の看護師。



(地域に根ざした医療を)をコンセプトに消化器外科を始め、内科、整形外科、麻酔科、などの診療科目を有する病床数50床の市内にある個人病院が私の職場。



高校の看護科で5年一貫教育を受け、国家試験に合格して晴れて看護師になれたのは5年前。



市内のこの病院に勤めて今年で5年目。



25歳、独身、恋人なし。



色気のない自己紹介だけど、紛れもない事実。



2年前から新人教育係になり、毎年若くて可愛い新人達相手に教育しながら時にはその子達の恋話の相談にまで乗りつつも、自分自身の私生活はカラッカラッの干物女。

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