第53話
「ハァ〜〜〜」
「!!」
長く大きい溜め息を吐かれたのですが!?
「絶対に絶対に俺の側を離れるなよ!?」
「はい!!」
「絶対っ絶」
ダンッ!!
「「「「!?」」」」
「ダァダァ話してないで、サッサと行って、サッサと帰って来る。僕はそんなに長く兄さんの代理をするつもりはないよ」
鍾鬼様がテーブルを叩き言う。
刹鬼様は鍾鬼様に睨まれながら肩をすくめた。
「丁」
「はい」
「ついて来い」
「!!はい!!」
やりました!!
お許しが出ましたーー!!
「やりましたね、奥様」
「真鬼ーっ!!」
真鬼と抱き合って喜ぶ。
「早く行けって」
「お土産を買ってきますね!鍾鬼様!」
「いらねぇよ!」
「そうですか、承知しました」
「早い!引きが早い!このクソ嫁!」
ふふーん。
今は何を言われてもヘッチャラですわ。
なにしろ、旦那様と一緒に行けるのですからー!!
「そんな遠足に行くかのように……」
多鬼がちょーっと呆れたような表情を浮かべているけれど気にしない!!
閻魔様がどうして刹鬼様をお呼びしたのかはわからないけれど。
ブンブンブンブン!!
わたくしは釘バットを意気揚々と振り回す。
魑魅魍魎?
どんと来いですわ!!
「丁、格好良い」
「さぁ、旦那様!!」
行きましょう!!
冥界……地獄へ!!
「フフッ。ハーッハッハッハッハッハッハっ!!」
「高笑い!!高笑いは止めて、奥様!!」
刹鬼様へと釘バットを持ってない方の手を伸ばす。
「丁には敵わない」
力の抜けた微笑みでそう言うと、刹鬼様はわたくしの手を取ってくださいました。
しっかりその手を握り、キスをする。
一緒に参りましょう、旦那様。
貴方様を邪魔するものは
旦那様の敵は……蹴散らしましょう!!
妻であるわたくしが愛用の釘バットで!!
「フフフ……フハーッハッハッハッハッハ!!」
「奥様カッコいい!!」
「山賊!!もう笑い方が山賊!!」
「こんな可愛い嫁、誰にも見せたくないんだが……」
「待ってろ!!閻魔ーー!!」
「奥様ーーっ!!」
「ハッハッハァ!!」
「ダメだっ。テンションが上がりまくってる!!」
刹鬼様の行く手を阻む奴は、誰であろうとこの丁が蹴散らしましょう!!
たとえソレが神であろうとも。
[完]
鬼嫁!~旦那様の敵は蹴散らしましょう~ めけこ @mekeko-427
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