第53話

 今なら、少しは…優しくなれるかも知れない。


 そんな事を、ぼんやりと考えつつ、キングサイズのベッドで、彼が寛いでいると―


 TRRRR…


 電話が鳴った。

 英智が受話器を取ると、フロントの外線案内―日本からの、国際電話の取次だった。


「…Oui,merci.」


 英智が応答するなり―信じ難い相手の声が、耳に届いた。


「英智……」


「お母さん!?

 どうして…?」


 絶縁状態となって、二年余り…絶えて久しい、母の言葉……


「会社…訪ねてくれたの…?

 わざわざ―」

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