番なのでしょう

第2話

「どういうことです?」

「セレイア嬢が、アレクサンドリア殿下に噛み付かれてしまいました」

「殿下は酔っ払っておられたようで」

「番なのでしょう」

「そのようですな」


「娘が殿下の番だったとは……」


伯爵はため息をついた。


めでたいことなのだろうが厄介な事はごめんだ。

ノルディクス伯爵家はそこそこ財力も力もある。娘はすぐに嫁に行く必要性もないと思っていた。


「社交界デビューでいきなり手をつけられるとは、しかも酔っ払って。全然ロマンチックじゃない!」


ノルディクス伯爵は結構なロマンチストだった。


番に出会ってもその場で噛み付いて良いわけではない。

仮婚約から婚約までしてから証式で証痕を付けるのだ。ちゃんと段取りがある。


「それでセレイアの様子は?」

「ショックで眠っておられます」

「いきなり噛まれて可哀想に」


ノルディクス伯爵は娘を溺愛していた。

黒髪とそばかすが特徴のあどけない娘だ。地味と揶揄されることもあるが決して不細工ではない。むしろ可愛い。

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