第34話 夜の移動
「結構人多いなぁ」
一気に16階層までやってたが、先程通過した15階層から16階層に下りる為の階段の部屋には結構な数の冒険者が泊まっていた。
まあ15階層は元からダンジョンで夜を過ごす冒険者のたまり場だから多いんだけどね。
階段の部屋のボスは一回倒されると年明けまで再ポップしないので、そのボス部屋はセーフティエリアとなる。
千葉ダンジョンでは15階層が例の罠だらけのフロアだが、16階層からは経験値的に他のダンジョンの同じ階層と比べておいしいエリアとなる。
各階の階段の部屋は全部セーフティエリアだからどこに泊ってもいいんだろうけど、人が少ないと悪いことを考える輩もいるからね。
特に千葉には『ブラックローズ』もいたし……。
なるべく集まって、と言うことで15階層の階段の部屋に集まるのが一般的なのだ。
もちろんこれは千葉だけでなく、他のダンジョンでも階層は違うけど集まる階層と言うのはあって、そこには協会の職員が巡回をしてくれたり、常駐したりするので安心して寝られるという訳だ。
(まあ俺の場合は逆に人が多いと困るんだけどね……)
さて、ここからは完全に初見のエリアとなる。
一応15階層から流されて来たことはあるけど、すぐに上に戻ったからね。
この先には行ったことがない。
ここまでは階段の位置も覚えていたのですんなり来れたが、本番はここからということだ。
まあレベル的には間違いなく問題ないから、道を間違えないことだけに注意して進んで行こう。
(あ、囲まれた……)
時刻はまだ3時、暗くて地図を見るのに手間取っている内に、狼のモンスターの群れに囲まれてしまった。
千葉の16階層が他のダンジョンに比べて経験値効率がいいのは、こうやって群れでモンスターが現れてくれるからだ。
(お、赤いのがアルファってヤツか……)
それとその群れを率いているアルファと呼ばれるリーダーモンスターが普通より経験値をくれるらしい。
ちなみにモンスターの名前は【鑑定】で判明したものであり、あの赤い狼もシルバーウルフ・アルファとかいうモンスター名となる。
シルバーなのに赤とは……。
(まあどうでもいいんだけどね)
なるべく無視して先に進みたいところだが、沢山のモンスターを追従させて移動すると、トレインと呼ばれる冒険者規約に違反する行為になるらしい。
ゲームなんかだとMPK、モンスタープレイヤーキルと呼ばれるモンスターを利用してプレイヤーを殺す行為に当たるね。
深夜なので冒険者はいないはずだけど、もしもと言うことがあるので殲滅して進むことにする。
スッとアルファの後ろに一瞬で回り込んで、その尻尾を掴む。
あとはそれを振り回して他のシルバーウルフを殴り倒す。
バット忘れたんですよね……。
グーで殴ってもいいんだけど何故かバットで殴るよりも酷いことになるので、なるべくならこうして優しく倒してあげるのだ。
(すまぬ犬たちよ……)
一つの群れごとに大体10匹前後と言ったところだろうか?
深夜で人がいないということは、逆にモンスターは沢山いるという訳で……。
(ついてないなぁ……)
内緒で来ているので、魔石も拾えない。
俺はまだ15階層以降には行ったことがないことになってるからね。
この先もそうなのだ。
スキルポイントは入るけど、経験値はいらない状態だしね。
というか、この辺りの階層は経験値的には美味しいらしいけど、スキルポイントは少ないみたいだ。
今回は地図を見て失敗したったけど、なるべくならモンスターと戦わないようにしたい。
次からはちゃんと階段の部屋で確認してから次の階層に移動しよう。
︙
︙
(人いるじゃん!)
16階層の階段部屋に来たのはいいのだが、一パーティーが泊まっていて、俺が部屋に入ると同時に全員が起き出して来た。
警戒されているので、そそくさと17階層へと下りる。
誰じゃい15階層に集まって寝るって言ってたのは!
まあ逆に人が多い場所には泊まりたくないって人もいるからしょうがないね。
時間オーバーして暗くなって移動できなくなったりとかもね。
(見られてる……)
ならば階段で地図を確認しようと思ったけど、上からこちらの様子を窺ってますね。
そこまで警戒するか?と思ったが、今の俺は顔を布で隠している不審者スタイル。
女の子もいるパーティーだったみたいだし、しょうがない……。
フィールドに出て、少し離れてから地図を取り出す。
真っ暗なのでライトで照らしながら方向を確認していると、案の上モンスターに襲われる。
(ついてない……)
この後も各階層の階段部屋に人がいて、同じようになりましたとさ……。
警戒されててボス部屋で休憩も取れないし、人がいないボス部屋に辿り着いたのは結局夜が明けてからだった。
夜は移動するものじゃないね。
世界一ついていない男は初ダンジョンでレベルダウンの罠を二度踏む 木村雷 @raikimura
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