第20話 ビャクヤ、ついにn((((((((((((
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ゛!!!」
「だから遅れるって言ったのにぃぃぃぃぃぃぃ!!!!」
「午後からだからって、のんびりしすぎるんじゃなかったね~…。」
「なんでカイトさんはそんなゆったりしとん!?」
ただいま全員で猛ダッシュ中です。
始業まで残り五分を切ったところ、やっと寮を出ました。
てか、なんで寮から学校まで十分かかんだよ。おかしいだろ。
「ジン!!お前、着替えに時間かけすぎなんだよ!!」
「しゃあないやん!!ムズかったんやってぇ!!」
「制服着るのにムズイもクソもあるか!!」
走りながら全力でジンに説教をする。
いや、マジでコイツ、制服着るのにありえねぇくらい時間かけてたんだぞ???
ホントにもう、コイツの準備時間のほとんどは制服着る時間なんか並みに。
「も、もう疲れた…。」
寮を出て一分しか経っていないのに、ビャクヤのペースが落ちてきた。
「早くね!?」
「あ~。ビャク、飛び乗って。」
カイトが何かを察したように、ビャクヤの少し前に行き、走ったまま上半身だけおんぶのポーズをとる。
「ん…。」
そこにビャクヤが…
野ウサギ並みのジャンプ力で飛び乗った。
「え、なんそのコンビネーション。」
びっくりしてカイトに聞くと、
「え?あ~、ビャク、体力ないから、よくこんな風におんぶするんだよね~。」
そうほほえんで答えるカイト、うっわ、コイツぜってぇモテるだろ。
いや、モテるな。だってコイツ、昨日きゃあきゃあ言われてたし。
「うわぁぁぁぁぁぁ!!!髪がオールバックやぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
突然ジンが叫びだした。
「いやお前、ツーブロパンチパーマじゃねぇか。オールバックもクソもねぇだろ。」
「いやぁ、だってこんな速く走ってて、お前ら全員オールバックやん!?
ビャクヤさんに関しては、後ろ髪もたなびいとるしぃ!?」
「うるさいって。てか、こんな速く走ってるのに、よく疲れないね…。」
ビャクヤが約一日ですでに見慣れてしまったジト目でこちらを見る。
いや、お前の体力がねぇだけだろ、と思ったが、それを口に出すとビャクヤに怒られてしまいそうなので、喉の奥で止めておいたのだが、
「いやいやぁ、ビャクヤさんが体力ないだけやでぇ!」
……言うんかい。
おい、せっかく俺が我慢したのに、お前が言ったら意味ねぇだろ。
なに満面の笑みで言ってんだよ。
「ふーん…。そんなこと言っちゃうんだ…っ。」
ほら、ジンがそんなこと言うから、ビャクヤがキレ…
「悪かったね…っ、体力なくて…っ」
は??????
驚くことに、ビャクヤは、悔しそうに眉をひそめ、目じりに涙をためていた。
「…あ~あ。ビャク、大丈夫だぞ~。」
カイトが器用に走りながらビャクの頭をなでる。
…幼子をなだめる親かよ。
「んぇ!?ビャクヤさん!?どしたん!?腹でも痛いん!?」
ジンに関してはやたらテンパってるが、自分が原因なのがわかってないんかい。
絶対あれだろ。
ジンが「体力ない」って言ったからだろ。
なんで自覚ねぇんだよ。わかるだろ。
そんでもってなんで聞くのが「腹痛いか」なんだコイツ。
……まぁ、初対面からあんな生意気だったあのビャクヤが「体力ない」で泣くんだもんな。
俺でも普通にびっくりしたわ。
黒髪の呪い子。白髪の祝い子。 RiR @otk-writer
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