第19話 時計はちゃんと見るべきだと思います。
「結局夕飯抜きかよぉ。」
俺の部屋のリビングに敷いてあるカーペットに寝転んで愚痴をこぼすジン。
…いや、ここ俺の部屋な。なに自分の部屋みたいにくつろいでんだよ。
「昼ご飯だったら購買で何かしら買えるからよかったんだけどな~。夕飯か~…。」
こちらカイトはダイニングの椅子で背伸びをしながら眉をひそめている。
ちなみに、ビャクヤは、カイトの向かいの椅子に座って頬杖をついている。
…俺?
俺は、ビャクヤとカイトに二つしかない椅子を占領され、カーペットもジンに占領されているため、床に座って縮こまっている。
いや、ここの部屋、もともと俺の部屋だったんだが。
この部屋の主は俺と言っても過言ではないのだが。
なに勝手にくつろいでんだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!(絶叫)
ここ!!
俺の部屋!!!
understand!?
と、意味不明な本音を心の中で叫び終わって無事脳内の鼓膜が死んだところで、
「お前ら?もうそろそろ学校の準備はじめねぇと、遅れるぞ?」
「…あ。」
ほらなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!
やぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっぱり忘れてただろ!!!!
ぜぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇんぶお見通しだからなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!????
「てかさ、キミ…。」
「あ゛?なんだよ。」
椅子に座りながら俺を見下ろし、口元を手の甲で隠して、プルプル震えているビャクヤ。
思わず悪態をつく俺。
「いや、だってさ、キミ…。」
「だからなんだよ。」
「なんで隅っこの床に座ったまま、そんなしかめっ面してるのっ…。」
「…は?」
「あーっ、ほんとにおもしろいっ。なんなの、もうっ。」
「こっちが聞きてぇわ。マジでなんなんだよ。」
さっきまで気だるげに頬杖をついていたくせに、急に笑い出しやがって。
一度目をそらしたが、笑い声が続いていたので、何かと思いもう一回見ると、
「あーっ、だめだ、やっぱり面白いっ。」
「おいこら。いつまで笑ってんだ。」
つい先ほどまでは、(何とかだが)笑いをこらえてはいたはずなのに、もう完全に笑い転げている。
「笑うのもいいが、もうそろそろ出発しないと、遅刻じゃないか?」
カイトが時計を見ながら、焦ったように言う。
「おまっ、だから言っただろ!!」
「はぁ?キミだっていじけてたじゃないか!!」
「おいぃ?レイも、ビャクヤさんも、言い争っとる場合やないぞぉ!」
「ほら、ジンくん、きみも、部屋に戻って早く着替えないと。」
それぞれが適当(カイトだけ真面目)なことをしゃべりながら、それぞれの準備に入る。
着席完了時間まで、あと二十分。
寮から学校まででかかる時間、十分。
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