第37話
「帰るんでしょ?」
あまり声が張れないから、コクっと首を縦に振る。
「一人で帰んの?」
横に首を振る。
「と、うこと…帰る、よ……」
かすれる声で伝える。
「俺送ってくよ」
その発言に横に首を振る。
神代くんと澄子が鉢合わせしたらやばい。
絶対修羅場になる。
澄子は神代くんのことよく思ってないし、きっと澄子のことだから神代くんにきつく言うだろうし…
「神、代く…んは、授業行っ、て」
その言葉に少し眉間に皺がよる。
「やなの?」
そう言って、あたしの頬に触れてた手を離す。
暖かい神代くんの手が離れて、ひんやりと頬に風が当たると鼻の奥がツンと痛くなった。
風邪だから…
寂しいのも、涙が出るのも、胸が苦しいのも
風邪のせいなの。
そのはずなのに………っ
手を伸ばして、神代くんの手を握って頬に持っていく。
涙もたくさん流れて、胸もギュッと痛くて。
「や…だ…、触って、て………っ」
こんなこと言っちゃうのも全部風邪せいにできたらいいのに。
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