第15話

大きなマンションの中に連れて行かれ、エレベーターで最上階まで連れて行かれる。



オートロック式の扉の前で彼は止まり、カードキーを取り出してかざすと鍵が開く。




玄関に入ると、またお姫様だっこされどこかへ連れて行かれる。




廊下を少し行ったところの部屋で神代くんは足を止めた。



部屋の中に入ると、大きなラウンジ型の黒いベッドが目に入る。





そのベッドにあたしを寝かせ、神代くんはあたしの服を脱がせ始めた。





分かりきっていたことなのに、今になってまた涙が出てきてまた、恐怖があたしを支配する。



嫌で嫌で嫌で、神代くんが脱がしていく服を手繰り寄せると腕を掴まれる。





あたしの顔を覗き込みながらあたしに囁く。




「そんなに嫌?」




「嫌に…っ、決まってるでしょ………っ!」





ここで、これだけの大声が出せるならなんでさっき言わなかったんだろう。




そうすれば、もっと何か変わったんじゃないかと考えたところでもう、どうしようもない。





「なんで?」




「こんなのおかしいよ…っ、付き合ってるわけでもないのにこんなことするの………っ」




ボロボロと涙が溢れて目の前の彼が歪む。



だから、神代くんがどんな顔してるのかなんて見えないし、むしろ見えなくてよかったとさえ思った。

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