第14話
「降ろしてください…っ」
必死になって話しかけても無視され、学校を出ても抱かれたまま。
恥ずかしいというより、何をされるんだろうという恐怖しか湧いてこない。
抱かれたまま駅まで連れて行かれ、そこでやっと降ろされる。
今しかない………っ
思い切って逃げようとすると、手を掴まれる。
「逃げきれねえんだから、無駄な抵抗すんな」
あたしのカバンからICカードを取り出し、自分のカードとあたしのカードを改札にかざす。
やっと振り返った神代くんはあたしに向かっていたずらする子供みたいに笑った。
「お前名前なんていうの?」
「………
もう、あたしに逃げ場なんてないんだ。
そう思うと、なんだか自分の無力さに嫌気が差してきてまた涙が出てくる。
スッとあたしの頬に神代くんの手が触れる。
そして、そのまま神代くんの方に顔を向かせられる。
「沙桐今日からよろしくな」
端正な彼の顔にはゾッとするくらい綺麗な笑みが刻まれていた。
怖くて、嫌で、逃げたくて。
でも、繋がれた手がそれを阻止する。
彼の握る強さは、それほど強いわけじゃないのに何故か解けなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます