第42話

「平助が、ずっとあなたにお礼が言いたいって言ってまして。それで、非番の今日にやっと来れたんです。」



「少し遅くなっちゃって、すまないっす。」



「いや、気にすることないよ。そんな大層な事したわけじゃない。」



眉を下げて謝る平助に、蝶はぶんぶん首を振った。



その度に包帯が突っ張って痛みが走ったのだが、今回だけは見逃すべきだろう。



「先日は、私も助けてもらいましたしねえ。遅くなりましたが、ありがとうございました。」



「…ここまで素直だと気味が悪くなるね。」



「あはは。ぶっ殺しますよ。」



「ちょ、総司!刀はやめるっす!刀は!」



藤堂は、気さくで優しい男だった。



三人でわいわい騒いでいると、また誰かが部屋を訪ねてきた。



「入るぞー。」



からり、と襖を開けたのは大男二人。



うち一人は、手に包帯を巻いた永倉だった。



「永倉さん、怪我したんですか。」



「あ?いや、まあ、少し。」



「筋肉野郎だから、このぐらいどうってことないぜ、ハハッ」



「それもそうですね、あはは。」



「どういう意味だ。」

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