第35話

「通りで、細えと思ったぜ。心配するなよ、俺は顔が良けりゃ抱ける男だ。」



「そうか。なら、安心だ。その前に…」




男の手が、すっと蝶の襟元に入る。


と同時に、蝶が男の手を掴む。



そして。



グチ…ッ


「っぎゃああああぁぁぁぁぁぁっっ!!!!」



蝶が、何かを男の目に突き刺した。



耳をつんざくような叫び声が響いた。



「っまえ!なにしやが…ん…っ!!」



蝶の行動に怒り狂い、刀を手にした男はその姿勢のまま、ぴたりと動きを止めた。



「ぐぁ…ぁあっ、あぁ…」



刺された右目を押さえ、再び叫ぶ。



「ぁあ…あ…っ!!」



突然、震えだしドサッと座り込んだ男。



その額には、異常な程に脂汗が浮いている。



「よそ見は良くないよ、旦那。」



蝶は、その様子を眺めながらぽつんと呟く。



残虐な事をしたにも関わらず、淡々としたその口調に沖田は、眉を潜めた。

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