第33話

「ははっ、勝手に決めてもらっちゃあ、困るぜ…!」



刀の持ち主は、先程の男だった。



傷腕に突き刺さった苦無を自ら引き抜き、立ち上がる。



そして、



ヒュッ


「っ…!」



手にある苦無をそのまま降り投げる。



向かってくる己の武器から避けると同時に、蝶の体はわずかに揺れた。



そんな状況に、男はにたりと笑う。



「舐めんじゃねえよ…!!」



容赦なく降りかかる刀を身を翻して避ける。



が、尚も襲いくる男の刀。



さすがは沖田と渡り歩いていた剣客で、その速さも並大抵のものではない。



「蝶、さ…げほっげほっ…!」



沖田も立ち上がろうとするが、咳き込み倒れる。



「っ、沖田、動くな!」



蝶はそれだけ叫ぶと、勢いよく上へ飛び上がった。



「っ!?」



いつもの落ち着いた声と共に、男の喉元を狙って黒い何かが降ってきた。



「ぐぁっ!」



「手裏、剣…?」



男の身を襲ったのは、蝶が上から投げつけた手裏剣だった。



思わず言葉を失った沖田の目の前に、蝶がトンっと軽い音を立てて着地する。



が、すぐに飛び上がると、ぐらついた男の腹に思いっきり蹴りを入れた。

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