第9話

「もしもし、すいません。連絡遅れました日向ひゅうがです。いえ。ちょっとトラブルで。はい?そっちじゃなくて。

実は婦女暴行未遂にぶち当たって仕方なく…すいません。3人転がってます。

はい。お世話かけます。」


やたら低姿勢の社会人さん。名前は日向さんと言うらしい。どうやらこの3人を警察に収監するみたい。


「日向さん、お手柄なのに凄い低姿勢なんですね。」


「お手柄?ああ関係ないし。

俺ここの管轄じゃない。

色々難しいんだよ縄張りが有るから。」


縄張り…そう言えば刑事モノの映画でそんな裏事情を見た様な。


「大変なんですね。」


「まあね。さて、どうするか。俺は表に出られないし。アンタ、コイツら訴える?」


聞かれて足元に転がる男達を見た。もうボロボロだし。日向さんのお陰で私は無傷だ。


「警察で説教してくれたら十分です。」


「そっか。了解。」


「それより、管轄外かもしれませんが森谷さん兄妹を探し続けてあげてください。」


私は日向さんに深々と頭を下げた。


「ああ。それな。わかってる。頼まれちまったからな。」


日向さんは苦笑いして体育館を見渡した。

一人で探してくれてるらしいしきっとご家族から依頼されたんだろう。強いし頼り甲斐有るし。きっと優秀な刑事さんなんだと思う。


「俺の事は誰かに聞かれても内緒な。上司にバレたら自由に動けなくなる。」


「ああ。悪魔って言ってた人?」


「そう。」


日向さんはにっこり笑った。ホントに若い。大学生でも通るよこの刑事さん。

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