第6話

「こいつら、ずっとアンタを見てたよ。」


「え゙っ!」


全然気づかなかった。笑いながら言う社会人さんに目を見張る。


「ずっと、って…?」


「俺が声かける前から。面倒事はゴメンだから知らん顔をしようかとも思ってたんだけどさ。」


社会人さんは私が立ってた辺りに視線を移すと苦笑いした。


「何かそうもいかない感じ?」


正義感を出して私に声をかけてくれたってこと?


「ありがとう。」


社会人さんはチャラいコイツらから私を守ろうとしてくれてるんだよね。


「はいはい。会話は終りね?」


「そうそう。1対3でどうやって勝つ気さ?」


「痛い目に会う前に彼女を置いて逃げたら?」


「そうそう。どうせ初めて会った他人だろ。」


「逃げるのは恥じゃないよ。おニーサン。」


3人が一斉に話し出した。コイツら本当にロクな奴じゃない。てか社会人さんが居なくなったら私をどうする気よ!


「冗談じゃないわよ!あんた達3人と一緒にここに残るなんて死んでもゴメンだからっ!それに1対3じゃないし。

私だって戦うもん!」


私は手の中の小石を握り直した。


「クックックッ…アンタ、男前だな。

言うことがいちいちツボだし。

まぁ、なんにせよ下がって。

うろうろされるとかえって邪魔!」


社会人さんの言葉が終わりきる前に後ろに突き飛ばされた。

どん!と鏡がある壁に背中をぶつける。


「痛っ!」


文句を言おうと顔を上げた時にはもう喧嘩が始まっていた。

いや、喧嘩か?これ!

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