第5話

さっきまで流れてた風の流れが止まって。いつの間にか無風になってて、わき上がる汗が額を伝う。なに、急に蒸し暑くなった?ハンカチで額の汗を拭えば


ゴロゴロゴロ…

遠くから聞こえだした雷の音。


「…降るな。」


大きく開けた体育館のドアから覗く天を見上げた彼は呟いた。


と、


ごおっと強風が吹き込んだと思うと一瞬無音になり、

ざあっ!! と勢いよく雨が落ちてきた。


ゲリラ豪雨!!


地表からの暑い風と雨が落とす冷たい風がぶつかって土の匂いと共に体育館に吹き込む。出入口5メートル程の床が一瞬でビショ濡れになった。

滝の様な凄い雨の音に他の音がすべてかき消される。


「‥‥‥‥。」


側にいた彼が私を見て何か話してるけどまったく聞こえない。

彼はため息をついて私の腕を掴むと私を引き寄せ背中に庇った。

不意に引っ張られて体を泳がせる私。


何事?!


「うわっ!!?」


驚いて叫んだけど多分聞こえてない。だって私の耳にも雨の音以外聞こえないもん。


「……」


ぱちぱちと瞬きしてる間に私と彼の前に3人の男達が現れた。

嘘!今まで何処にいたの?

疑問におもいながら社会人さんにしがみつく。コイツら!悪い奴。

だって3人とも顔も雰囲気も見るからにチャラい!!オマケに口許に浮かべてる笑いが気持ち悪い!例えるなら…そう!


「婦女暴行犯人!うん。ピッタリ!」


一瞬途切れた雨音。私の声が異様に体育館に響いた。ひえええええっ!!

なんでこのタイミングで静かになるの!

思わず口を押さえたら


「ぷっ!! あははははははっ!おまえ!容赦ねえな!」


私を庇った彼に爆笑された。笑い事じゃありません!

見るからにチャラい3人ともが見るからに凶悪な顔に変わった。こっちが地か!

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