第2話
驚いた私は慌てて愛の3才上のお兄ちゃんである、
電話で話した彼はすっかり憔悴しきっていて
『
愛の行きそうな場所とか彼氏の話とか、何か行方を探す手がかりを聞いて無いかな。』
多分藁にもすがる思いだったんだろう。あまり話した事のない私にすがるように聞いてきた。
「すいません。…」
あまり連絡をしてなかったし。蒸発の話も別の友人から聞いて慌てて連絡したくらいだし。
『…そうか。』
明らかに落胆したのがわかる護さんに
「二年後のお盆の16日になら小学校の体育館の鏡の前で会う約束をしてます。」
それくらいの事しか言えなかった。
『二年後。随分先だな。でもありがとう。』
護さんは無理にテンションを上げて私の電話を切った。
それから愛の家族達はビラを配ったり行方不明者を探す番組に出たりして必死で愛を探したけど。その行方はまったくわからなかった。
二十歳のお盆。
大学生になった私はアメリカにショートステイする事になり約束の日に約束の場所には行け無かった。
護さんに電話で謝ると
『代わりに僕が行くから大丈夫だ。気にしにないで。』
笑って答えてくれた。
まさかその日に彼まで消えてしまうなんて。何度電話しても通じない電話。反応ないメール。帰国してすぐ連絡を取ろうとして彼まで消えたことに愕然とした。
もちろん私は彼があの日ここに来た事を警察に届けたけど、彼の行方もまたわからないまま2年が過ぎた。
去年の約束の日は大型台風で公共機関がストップ。ここには帰れなかったし。やっとこれたのが今日。
「待たせてごめん。愛。」
そう呟いたら
『やっと来たね。』
愛の声が聞こえた気がした。
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