第3話-⑪
田舎の夜は真街灯がない為真っ暗だ。
「海晴ー!お兄ちゃん来たわよー!」
ばあちゃんの世話し終え玄関へと向かう。
「よう、弟よ!迎えに来たぞって言っても帰るのは明日の朝だけど」
「携帯!」
「あ、はい どうぞ」
俺は兄に目もくれず携帯を求めた。
「今日は天晴も一泊して明日皆で帰りましょう 夜ご飯私と海晴は食べちゃたけど用意してるのよ」
「やった〜、明日賢治叔父さんと桐子叔母さん来るの?」
「やっと体調戻ったみたいでね、明日交代で来てくれるみたいなの」
「そっか、良かったね」
母と兄の他わいもない会話を他所に俺は携帯を弄る。特に急ぎの連絡は来ていない。少しホッとしていると…ピコンとメッセージの通知が来た。そのメッセージを見て俺は喉をキュッと締められた感覚に陥った。
「兄ちゃん…」
「へっ?なんか言った?」
「駅まで送ってくれ!!!」
「は?」
「何言ってるの?海晴、もう時間遅いわよ?」
「今から行けばまだ終電間に合うよな!?」
「ちょっと何どうしたの海晴、帰るのあし…」
母さんの言葉を制しし、兄は俺の顔を真っ直ぐ見る。
「今日じゃないと駄目なのか?」
「うん、後悔したくない…」
兄は俺の顔みて、真剣な顔からいつも通りの柔らかい笑顔に戻った。
「分かった、送るよ」
「ちょっと天晴…海晴の我儘に付き合わなくても…」
「まあまあ、ここは任せてよ母さん」
俺は帰る準備をして兄の車に乗った。母さんも言いたい事はあっただろうにそれ以上何も言わず見送ってくれた。
兄は何も言わずただ車を走らせてくれた。
携帯のトーク履歴を俺はただずっと眺めた。
そのメッセージに何か嫌な感じがした。早く行かなきゃ…そう思った。
真雪の【会いたい】ただそれだけのメッセージに…。
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