第3話-④

「…行っちゃった」


海晴は走って店を出て行ってしまった。隣に座る柚希をチラッと横目で見る。柚希は海晴が出て行った方向を眺めていた。


「…なに」


「ぁ…いや」


柚希を横目で見ていた事がバレてしまっていた。


「…あー、たくもう」


そう言って背伸びをする柚希。海晴との会話で柚希はどう思ったのだろう。


「…柚希」


「海晴が好きならいいんだよ、好きなら」


柚希はコップを片手で持ちジンジャエールを飲み干した。


「俺は別に彼方の事が嫌いとかじゃない、海晴が心配なだけだ」


「…うん、そうだね」


「この前の祭りで悪いやつじゃないってのは分かったし」


「…うん」


「…けどな、なんか心配なんだよ」


柚希の心配という気持ちは何となく分かる。何が心配なんだと聞かれたら何かは分からない。

分からない…けど。


「柚希の心配も分かる…けど何かあったら俺らがいるじゃんね」


そう言って笑うと柚希も「そうだな」と言って笑った。外野の俺らが出来るのはそっと見守ること…ただそれだけだ。





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