第31話

ゲームの話題で盛り上がり、やがて、餃子定食がやってくる。

ほかほかの湯気をたゆらせ、食べごろだと知らせてくれた。


・これが餃子?


・なんだか、もにゅりとしている


見た目は確かに固形物。


「いただきますっ」


「「いただきます」」


私に習い、手を合わせた。


──パクっ


──ジュワッ


肉汁が口の中にっ


「んんん!!」


牛肉とニラの相性が良く、肉汁を留めていた皮が一緒に踊ってくれる。


「うまあ!」


「よく分からないのですが、質感が不思議です」


「うめえうめえ」


食べ盛りのジャニクは語彙力を無くして食べる。


「今回はスペシャルゲスト。はちみつレモンを別料金で注文した。これをぐいっと飲む」


サイダーが入っているそれを一思いに呷る。


口に残る油分をさっぱりさせ、後に再び加える中華の味を更に美味しくさせる魔法だ。


「しゅわしゅわします」


「うんめえうんめえ」


ジャニクはもう言語のある知識が戻らなくなるかもしれない。


「なんと言う事でしょう。餃子が更に美味しくなりました」


「はちみつレモンのさっぱりした甘さが塩気のある中華を昇格させてくれたんだよ」


「飲み物と組み合わせるというものなのですね」


アルメイは一口食べて飲んで、それをループさせた。

他のジュースも頼み2人に飲んでもらう。


「あっぷるジュース、みかんジュース、うまい」


「まだまだジュースはあるのですね。地球の豊富さには脱帽ものです」


「そうでしょ」


得意げになるのも当然で、15年も地球という存在を乞い願った。

皆が美味しいと思えるものがあることを知っていたから、更にやきもきしたのだ。


「リーシャ、このデザートも食おうぜ」


「うん。なに食べる?」


「アイスクリーム!」



アイスクリームを知らないで注文して、3人で食べる。

店員は寒いのに平気かと聞いてきた。

私達が小学生に見えたからだろう。


「お気遣いありがとうございます。でも、私達は大丈夫です」


善意で聞いてくれているのは理解しているから、なんてことないような顔で答える。


私は笑みを浮かべて、アイスクリーム全種類を選ぶ。

アイスクリームの種類は多岐に渡る。


「おまちどう。溶けるから少しずらしてもってくるね」


「わかりました」


アイスクリームを3人で分けて食べる。

ううーん、海の後のアイスクリームって激ヤバな組み合わせ。

地球の人間はブルブル震えるやり方。


「うっまあー!」


「溶けました、溶けましたよ」


「メロン味、苺味、バニラあ!最高ッ」


美味しすぎて泣いてしまった。

嘆きのリーシャ。

嘆かない、感動の涙だ。


「うっま。こんなうまいの世の中にあるんだな!」


ジャニクがニコッと笑みを満開にして食べる。

子供の笑顔と喜びようにお店の人達が他のデザートもどうですかと勧めてきた。

他のも食べると2人は言うので私もメニュー表を眺めて、追加注文。

おカネは大統領とかにもらってるから、問題なし。

私の稼ぎでも大丈夫だけど、甘やかしてくれる大人たちに甘えている。


3人でひたすら食べて、満たされてからまた海に向かって走った。

今度は砂浜で山を作って遊んだ。

見えない技術がなければ通報されまくっていたな。


コメントには、地球に行けたら海に行ってアイスクリームを食べたいと、観光の鉄板が出来上がりつつあった。


地球行きが解禁になった後に、海とアイスクリームを大量に発注することになる、地球の光景が未来予想される。

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