第壱章/ようこそ――《早喰い》の世界へ!(1)
「ねぇ、《早喰い勝負》を見たいんだけど」
公けに、口にだしてはいけない言葉だったらしい。店内は咳をするのも
新宿は歌舞伎町の裏通りにある、小さなラーメン屋だった。昼だというのに薄暗い店内は、客入りも少なく、うらぶれた雰囲気だった。
もっとも――今世紀初頭に起こった世界規模での大恐慌の後遺症で、今は世の中全てのものがうらぶれていたのだが。
「だから、《早喰い勝負》を見たいんだけど、って聞いてんだけど!」
注文を取りにきた年配の女店員に、その女はいらだちも隠さず同じ質問を繰り返した。
美人だった。
しかも二十歳と若い。
眼はふたえで鼻は高く、やや厚ぼったい唇が、服を着ていてもわかるほど豊満な胸とともに、性的な魅力を発散させていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます