十三夜月

ウサギが1匹、

ぴょん、と跳ねる


月明りだけの夜

静かな住宅街に迷い込んだ

1匹のウサギ


空っぽのウサギ小屋を後にして

たった1匹で駆け出していく

小さなウサギは――――


長い耳を動かして

周囲を見回す


真っ赤な目が

きょろり、と動く


何かを探すように

駆け回る。


ポタリ、と真っ赤な液体が滴る

真っ赤な目が捉えたのは

長い耳が聞いたのは

大事な何か


タン、タン、タン、と軽やかに

ウサギは地面を叩くように駆けていく


ウサギの通った後は

小さな足跡が残っていた

それは血に濡れたように真っ赤だった


一人の少女が

真っ赤なソレを追いかけた

いざなわれるように


月は泣いた

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