第2話

始業式の日は午前で授業もなく学校が終わる。


和央が下駄箱で靴を変えていたら、戸渡たちがラーメンに誘ってきた。




「和央、今日、おれら昼、家系ラーメン行くけど、一緒に行かね?」


「いいね。俺も行くわ。」


「よっし。じゃあ行くか。」


「あ、財布。いけね。教室だわ。」    


「和央、ここで待ってるわ。」


「おう。わりぃ。」



和央は急いで教室へ戻った。


人が疎らになっていた、2年生の階の廊下を小走りで進んでいく、


2Eの教室へ行くと、一華と翔央が誰もいないのをいいことにキスしていた。



一華は和央に気がつくと気まずそうに、

そっぽを向いた。



「なんだよ、和央か。いいとこだったのに。」


「学校で必要以上にイチャこくなよ、目障り。」



「フン。うるっせぇな。何しに戻ってきたんだよ。さっさと行けよ。」



「忘れもん取りに来ただけだよ。」




和央は財布を取って鞄に入れてその場を去った。



下駄箱では戸渡が待っていた。

和央は何も無かったかのように、振る舞う。




家系ラーメンはお昼のサラリーマンたちで少し混んでいたが、運良くテーブル席に座れた。



和央は戸渡や、井上、安野と会話していてもなんとなく、話に乗れなかった。



みんなですすったラーメンもなんだか

美味しいと思えない。





いつまでも、一華への想いに縛られている自分を自覚する。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る