第一話 和央のジレンマ
第1話
年が明けたらすぐに実力テストだ。
冬休みの課題から出されることは明確だったので、和央は冬休みは友人の誘いには乗らず、
家で勉強をして過ごす。
勉強したいからと、いうのは建前だった。
やっぱり、一華と翔央を見たくない思いが強かった。
気が狂ってしまいそうだが、自業自得、という言葉も頭の中が巡ってしまう。
勉強をしていた方が気が楽だった。
何かに夢中になっている瞬間は嫌なことを考えずに済む。
こんなにも自分が一華のことを大切だった、と今になって気づいてる。
人って失わないと気がつけないものがあるとはよく言ったものだけど、気づいたときにはもう、戻らない。
そんなことを考えながら、冬休みは明けていった。
学校に行くのも憂鬱だった。
足取りが重い。鉛でもつけているかのように感じた。
和央が学校に着くと、一華はるかたちと楽しそうに会話をしていた。
一華の笑顔を見ると、まだ、未練で苦しくなる。
「かーずおっ、うぃっす!」
「うぃす。」
「勉強した?俺、微妙なんだよなぁ。」
戸渡が話しかけてきた。戸渡はクラスのバランサーだから、よく、気をかけてくれるし、気も遣ってくれる。
「俺、結構今回は勉強しちゃった。」
「げ!おまえ、裏切り者!だから初詣来なかったんか。」
「えー和央、勉強してたんかー。俺はてっきり、和央は新沼と小山が来るから来なかったんだと思ってたよ。」
浜口が戸渡の隣でまたしてもKYな発言をして、戸渡に尻を蹴られる。
浜口はケツを押さえながら飛び回る。
「まぁ、来年は受験だしな。頑張らないとな。」
「戸渡も指定校狙いだろ?」
「おぅ。俺も学内の成績頑張らないとな。」
遅刻ギリギリで翔央が登校してきた。
セーフ!と大声で騒いで大袈裟に騒いでいる。
小野の出席簿アタックをくらい、席に座る。
「新沼遅刻ー。いいかー。おまえら、休み明け弛むなよー。」
「うぃー。」
2Eからやる気がない返事が返ってきて、
小野もがっくりする。
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