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第1話
「やっほー翼ちゃん」
「………………」
玄関を開けた先にいた男に私は胡乱な目を向けた。何で……何でこいつがいんのよ。
どうやってここを知ったの?
こいつに一切自身のことについて教えた覚えは無いというのに。
いや。相手にするだけ無駄よ。
疲れるだけ。わざと大きなため息をついて、鍵を閉めると男の横を通り過ぎた。
「ちょーっと待った。流石に無視は傷つくなぁ」
「……離してもらえる? 私、貴方と話す事なんて何一つ無いんだけど」
「俺はあるよ?」
「…………はぁ。何度も言っているけど、答えは"ノー"よ。」
早足で階段を駆け下りるけど、男は平然と隣を着いてくる。
もう本当にいい加減にして欲しい。
何でこんなに私にしつこく付き纏うのか。
「ちょっと、触らないで」
勝手に人の手を取り繋がれたので慌てて振り払う。何で手を繋がなきゃいけないのよ。
全く意味が分からない。
だけど私の拒絶なんて全く聞いてないとばかりに強く握り締められてしまい叶わない。
ぐ、と眉根を寄せて男を睨むけど逆に笑顔を向けられてしまった。
「何でそんなつれないこと言うの。俺と翼ちゃんの仲じゃん」
「ねぇもう止めてよ。ほんと嫌いになるわよ」
「はは。どうせ俺のこと嫌いなくせに」
「っ」
まるでお見通しだとばかりに言いきられてしまい何も返せない。
その通りなのだから仕方ない。
「どうしたら翼ちゃんは俺のものになってくれるのかな」
「……貴方なら幾らでも女の子が寄ってくるでしょう。なんで私にそこまで執着するのか分からないわ。」
「もう他の女の子なんてどうでもいいんだ。俺が欲しいのは翼ちゃんただ1人だからね」
「……くどい」
ズキズキと痛むこめかみに重いため息をつく。戯言もいいとこだわ。
そう言って何人もの女の子を泣かせてきたに違いない。その1人になるつもりなどさらさら無い。
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