第16話

―あなたがいなければ私は…―


 私の中には人間がいる。影と呼んでいる、少し下品な、もう一人の私。毎日会話する、大事な人だ。

「でさ、影、私はどうすればいいんだろうね。」

「オレばかりに頼るの、やめようとか思わないのな、ヒカリは。」

「だって影にしか相談できないんだもん」

 部屋で私と影の二人きり。他人には私が独り言で会話してるように聞こえるかも知れない。でも私は別にそんなことどうでもいい。

「ヒカリ、入るわよ」

「お母さんっ、待って、影が」

「あら、影もいるの」

「母さん、久しぶり。」

 私の中の影が挨拶をした。

 影を知っているのはたったの四人。お母さん、私、親友の知衛、そして影自身。お母さんに関しては影を子供の一人、私の双子の兄のように見ていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る