最終章

 最終章とは銘打って入るもののこの物語には最終章なんて存在しない。

 生きたいように生きて、生まれたいように生まれて、死にたいように死ぬことを望む人生において、物語のように最終章なんてものは存在しない。だから変わらずにこの物語は続くし、それは作者か私が死ぬまで続く。色々作者が手を出して味見して、盗み食いして、たどり着いた物語で、一応納得した作品が三つ生まれた。そのうち、真面目で作者自身も鬱病にまでなったのが『性のない僕らを愛して』という作品。そのほぼ同じ世界観の『この世界の藍に憧れて』が本人曰く文芸作品場は多分できたほうって評価している。その他、あまり紹介サイトにも出してもらいたくない死後の世界の話を題材にした『水没都市都市と空のクジラ』は意外と刺さる人が居たみたいで本人がびっくりしていた。あ、作者のことね。実家に居た頃に書いた物語。書いていた頃の仕事はダイソーだったかセブン夜勤だった忘れたけど、大量消費社会でプラ製品ばっかり売っていることへのフラストレーション溜まっていたらしい。

 今の仕事は福祉国家らしく福祉に従事して感謝と少しの我儘と面白さと時間に迫られているけど、人のために生きたがっていた作者らしく、それを仕事にできて案外嬉しそうだ。ひとりだしインターネット無料だし、家賃は折半の恋人が来てくれるし、まぁ、その他は色々と話し合いとか必要だけど結構充実した生活して、実家より楽しそうな作者がいる。

 茨城でも埼玉でも京都でも生きられそうじゃなかった作者がようやく生きようとした町が結局はそこだった。生きていこうとした場所と生きがいが作者がようやく見つけた場所だったんだと思う。

 あんな調子で子どもが生まれるとは思えないけど、けれど、子どもが欲しいらしい。あと家。アパートじゃなくてローン三十年ぐらい頭金二十万で買えそうな家がほしいらしい。引越し費用はトラック運転できるから往復して出来るらしいし、勉強頑張って今資格取ろうとしているらしいけど、多分、たまに定期的に病むと思う。

 案外弱い人だ。それでも、前向きな性格だし、どうせ酒の勢いで旅行先勝手に決めて、「予算組むの大変」とかどうせ言いながら楽しんで生きるんだと思う。

 夜勤も慣れたらアホみたいにいれるだろうし、妹よりは人生不器用だけど、兄よりは器用。SNS嫌いで文句しか言わない人よりも、なんとかしようという人を好んで、あの人になりたがる。

 狩猟免許持っている友達とフリーターの友達と美容師になろうとする同級生と経営者だったのに死んでしまった友達しか居ない作者。

 片手で友達が居ない作者にとって、あの人達の幸福と自分の幸福が同じなんだと思う。

 好きな人だけが幸せなら良い。そういうエゴをようやく学んだんだ。

 世界は何千年も前から自分と好きな人の幸福を望んで他者を不幸にしているのに、作者は理想掲げようとして、理想になれずに、罵倒されて生きてきた。

 浮気、不倫、欺瞞、詐欺、嫉妬、偏見。

 嫌いな物ばかりの世界で何度も文明滅べと願ったけど、十年前の震災で抱いた『これで日本もようやく終わる』という安堵は、結局はその後の不幸もあるという現実の逃避だったのかもしれないけど、それでも、作者にとっては文明が続く不幸は幸福だった。

 この言葉の意味が理解できる人は少ないかも。

 人は苦悩の中で生きる。仏教的な人生観だけど、なんとなく理解は出来る。私も浄土真宗だしね。

 悩まない人間は愚かだし、怠け者であるとも思う。ティックトックのコメント欄並みの知能の低さしかない。批判ばかりで自分の意見がない。現代人の典型的。

 一部の人は目立つ。

 それが社会だから。でも、その一部が実は全体に見られる矛盾が社会。

 

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