第12話

途端、に。



伊織くんのやさしさが指のあいだから溶け出して。



身体中に、シアワセが満ちて行く。



青信号で、再び歩き出したら、歩幅がぴたりと揃って。



…伊織、くん。やさしい、ね?



うん。海乃さんにだけ、ねー。



ふわり、笑ってみせた。



格段に、やさしくなった、目もと。



私を想ってくれている、気持ち。



穏やかな、声音。



そういうものたちが、伊織くんを形作っているものの中に入っていることを、とてつもなく、うれしく思う。





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