第10話

店員さんのあとに着いて、おそるおそる店内へ。



レジの前に、腕を組んで仁王立ちしている、伊織くん。



「バカー」



…すみま、せん…



「ったくー。なぁーんで大人しく、家で待てないかなー。海乃さん、最近すげーかわいーのわかってる?!もとから、かわいーのに、さらに可愛くなっちゃってー。変なオトコが寄ってくんの当たり前だからー。今月、3回目だよ?!さ・ん・か・い・め!!どーなっとるのよ、もー!しかも、おにーさんにまで迷惑かけてさー」



…伊織、くん。ここ、お店の中だから…



…あ、オレ、全然迷惑なんかじゃないんで、大丈夫っすから。彼女さん、可愛いから心配ですよね。



「そーなんすよー!わかってくれますー?こちとら、心配で心配で仕方ないのに、当の本人ときたらー!!」



「…い、伊織くん!帰ろ?ね?ね?!」



慌てて、その腕を押える。



ほんとに、もー!あー、ここ、行きつけにさせてもらいます。ほんとに、ありがとうございました。



店員さんに告げて、私の腕を引く伊織くんに着いて歩く。



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